特別展『多治見市指定 無形文化財「志野」保持者認定記念 安藤工展 -絢爛(けんらん)たる志野、広がる伝統―』

本展覧会は、令和5年度に安藤工氏が多治見市指定無形文化財「志野」の保持者に認定されたことを記念し、安藤氏の志野の作品と功績を紹介する展覧会です。
安藤工氏は1969年に多治見市市之倉町にある仙太郎窯の4代目として生まれ、幼い頃から父である安藤日出武氏(岐阜県指定無形文化財「黄瀬戸」の保持者)の穴窯での窯焚きや仙太郎窯での仕事を間近に見て育ちました。
高校生の時、父の勧めで愛知県の美術館で日展を見て、焼き物の可能性や芸術性に感銘を受けます。これを機に卒業後加藤釥(しょう)氏(瀬戸市「陶芸 鉄釉技法」保持者、日展審査員、日展会員、評議員を歴任。1927-2001)に師事し、22歳で第23回日展に初入選以降、17回にわたって入選を果たします。
また、27歳の時に加藤孝造氏(1935-2023)(国指定重要無形文化財「瀬戸黒」の保持者)と出会い、美濃桃山陶について指導を受けます。その指導の中で、身近であった美濃桃山陶が生涯をかけて追求していくものである事に衝撃を受け、美濃の焼き物を見直し、研究を深め、自身の思い描く「志野」の表現を追求していくことになります。
作品には美濃の百草(もぐさ)土を使用し、穴窯で6昼夜かけ薪で焚くことで、独創的な緋色(ひいろ)を創出しています。同時に粒度の異なる長石を配合した釉薬を使い分けることで、透明感の違いを繊細に表現しています。そして代表作である象嵌(ぞうがん)技法を用いた志野彩文(さいもん)シリーズでは、今までの志野に新たな技法を取り入れながら独自の作品を生み出しているのです。
安藤工氏による「志野」の表現の広がりを是非ご覧ください。