企画展「やきもの入門-多治見の近世編-」

本企画展は、令和2年に開催した「やきもの入門―多治見の古代中世編―」に続く、「やきもの入門」第2弾です。
江戸時代になると、それまでの窖窯や大窯より熱効率と量産性に長けた連房式登り窯が九州から伝わり、織部や御深井などの優れた陶器が生産されます。その後、江戸時代中期には茶道具に加え徳利などの日常雑器が大量に作られ、茶陶を中心に生産していた江戸時代初期までと大きく変化しました。鉄釉の茶碗や徳利、掛け分けをした鎧手茶碗や御深井釉製品が多く作られ、色絵製品も登場します。
さらに江戸時代後期には磁器の製法が瀬戸から伝えられ、陶器よりも固く焼締まり、緻密な素地である炻器染付の製品や磁器製品が市之倉などでいち早く作られます。特に炻器染付製品は、当時まだ高価であった磁器製品と比べて安価で、江戸などの都市の周辺地域にも広く普及していきました。連房式登り窯によって大量に生産されたこれらのやきものは、陶器商によって日本各地へと輸送されていきます。
多治見を代表する陶器商である西浦家は、当時多治見村で「西浦屋」という屋号でやきもの販売を行っていました。また、大坂と江戸にも出店し、多治見村の本店とともに中央市場へも参入しています。
このような美濃焼の販売ルートの確立や、炻器・磁器づくりの技術が、明治時代以降の海外向け製品を生み出す土台となりました。本企画展では近世編として、江戸時代に多治見や周辺地域でつくられたやきものを紹介します。
※入場料無料